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個人事業主やフリーランスは、顧客数が少ないうちは、メール、名刺、手帳、請求書などを見れば顧客情報を把握できることがあります。
しかし、取引先や問い合わせが増えてくると、「前回何を話したか分からない」「見積もりを送ったままになっている」「連絡先が複数の場所に分かれている」といった問題が起こりやすくなります。
そこで必要になるのが、顧客情報、対応履歴、取引状況、次回の連絡予定などを整理する顧客管理です。
顧客管理には、Microsoft Excel、Googleスプレッドシート、CRMなどを利用できます。ただし、利用人数、顧客数、更新頻度、自動化したい範囲によって、適した方法は異なります。
この記事では、個人事業主、フリーランス、小規模事業者向けに、顧客管理で記録したい項目、Excel・スプレッドシート・CRMの違い、自分に合う方法の選び方を解説します。
最初から高機能なCRMを導入する必要はありません。重要なのは、顧客情報を一カ所に集め、次に行う対応が分かる状態を作ることです。
- 1 この記事でわかること
- 2 顧客管理とは
- 3 個人事業主に顧客管理が必要な理由
- 4 顧客管理で記録したい基本項目
- 5 Excel・Googleスプレッドシート・CRMの違い
- 6 Excelで顧客管理する方法
- 7 Googleスプレッドシートで顧客管理する方法
- 8 CRMで顧客管理する方法
- 9 ExcelとGoogleスプレッドシートの違い
- 10 表計算ソフトとCRMの違い
- 11 個人事業主に合う顧客管理方法の選び方
- 12 Excel・スプレッドシートからCRMへ移行する目安
- 13 顧客管理表を作る基本手順
- 14 顧客管理でよくある失敗
- 15 顧客の個人情報を管理する際の注意点
- 16 顧客管理方法を決める手順
- 17 個人事業主の顧客管理に関するよくある質問
- 18 まとめ
- 19 参考にした公式情報
この記事でわかること
- 個人事業主に顧客管理が必要な理由
- 顧客管理で記録したい基本項目
- Excel・Googleスプレッドシート・CRMの違い
- 事業規模や利用人数に合う管理方法
- 表計算ソフトからCRMへ移行する目安
- 顧客の個人情報を扱う際の注意点
顧客管理とは
顧客管理とは、顧客の基本情報、問い合わせ内容、商談や購入の履歴、対応状況などを整理し、その後の対応に活用することです。
単に住所録を作ることだけが顧客管理ではありません。
「誰と取引しているか」に加えて、「これまで何を話したか」「現在どの段階にいるか」「次にいつ、何をするか」まで記録することが重要です。
CRMは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では一般に「顧客関係管理」と呼ばれます。
本来は顧客との関係を良好に保つための考え方を指しますが、その考え方を実行する顧客管理システムもCRMと呼ばれています。
ExcelやGoogleスプレッドシートで顧客を管理することも、広い意味では顧客管理の一つです。
個人事業主に顧客管理が必要な理由
対応漏れを防ぐため
問い合わせや商談が増えると、すべての予定を記憶だけで管理することが難しくなります。
顧客ごとに次回対応日を記録すれば、見積もり後の確認、契約更新の案内、納品後のフォローなどを忘れにくくなります。
顧客管理では、過去の記録を残すだけでなく、次に行う作業を明確にすることが大切です。
過去のやり取りを確認するため
顧客から連絡があったとき、以前の相談内容や見積もり条件をすぐ確認できれば、対応を早められます。
反対に、メール、チャット、手帳、請求書などを毎回探していると、確認だけで時間がかかります。
対応履歴を一カ所にまとめれば、「前回の続き」から会話を始めやすくなります。
売上や案件の見込みを把握するため
問い合わせ中、見積もり提出済み、契約済み、対応完了など、案件の状態を分けて記録すると、現在どの程度の仕事が進んでいるか確認できます。
見込み金額や受注予定日も記録すれば、今後の売上を考える材料になります。
ただし、見込み金額は確定売上ではありません。資金繰りを考えるときは、契約済み・請求済み・入金済みを分けて管理しましょう。
顧客ごとに適切な対応をするため
顧客によって、連絡方法、希望する納期、過去の購入内容、重視する条件は異なります。
必要な情報を確認できれば、同じ質問を何度も行うことを減らし、顧客ごとの状況に合わせて対応しやすくなります。
事業を引き継げる状態にするため
一人で運営している間は、本人の頭の中だけで業務が回ることがあります。
しかし、従業員、家族、外注先へ一部の業務を任せる段階になると、顧客情報や対応状況を共有できる仕組みが必要です。
顧客管理を整えることは、業務をほかの人へ引き継げる状態にすることでもあります。
顧客管理で記録したい基本項目
顧客管理表を作るときは、最初から大量の項目を用意する必要はありません。
入力項目が多すぎると更新されなくなるため、業務で実際に使う情報から始めましょう。
顧客の基本情報
| 項目 | 入力例 | 目的 |
|---|---|---|
| 顧客ID | C0001 | 同姓同名や表記違いを区別する |
| 会社名・屋号 | 株式会社○○ | 取引先を識別する |
| 担当者名 | 山田太郎 | 連絡相手を確認する |
| メールアドレス | 担当者の業務用アドレス | 連絡先を確認する |
| 電話番号 | 業務用電話番号 | 必要時に連絡する |
| 顧客区分 | 見込み客・既存客 | 顧客の状態を分類する |
住所や生年月日など、現在の業務で使わない情報まで念のため収集する必要はありません。
管理項目は「あると便利そうか」ではなく、「業務上必要か」で判断しましょう。
問い合わせ・案件情報
- 問い合わせ日
- 問い合わせ経路
- 相談内容
- 希望商品・サービス
- 案件の進行状況
- 見込み金額
- 受注予定日
- 失注・保留の理由
問い合わせ経路には、Webサイト、紹介、SNS、広告、既存顧客からの再依頼などを記録します。
どの経路から受注につながっているか確認できれば、集客方法を見直す材料になります。
対応履歴
- 対応日時
- 対応方法
- 話した内容
- 顧客からの要望
- 決定事項
- 次回の対応内容
- 次回対応日
長い会話を一字一句記録する必要はありません。
あとから見た人が、何が決まり、次に何を行えばよいか分かる内容を残します。
契約・請求・入金情報
- 契約日
- 契約内容
- 契約期間
- 請求金額
- 請求日
- 支払期限
- 入金確認日
- 契約更新日
ただし、顧客管理表を会計帳簿の代わりにするのではなく、会計ソフトや請求管理との役割を分けましょう。
顧客管理では「顧客との取引状況を確認するための情報」、会計ソフトでは「帳簿や申告に必要な取引情報」を管理する考え方です。
Excel・Googleスプレッドシート・CRMの違い
3つの方法には、それぞれ得意な場面があります。
| 管理方法 | 主な特徴 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| Excel | 表や計算を自由に作り込める | 一人で柔軟に管理したい |
| Googleスプレッドシート | ブラウザで共有・共同編集しやすい | 少人数で同じ表を更新したい |
| CRM | 顧客・案件・履歴・タスクを一元管理しやすい | 顧客数や対応人数が増えている |
「どれが最も優れているか」ではなく、現在の業務に対して複雑すぎず、必要な管理ができる方法を選ぶことが重要です。
Excelで顧客管理する方法
Excelは、表の作成、並べ替え、絞り込み、計算、グラフ作成などを行える表計算ソフトです。
顧客管理専用のシステムではないため、自分の業務に合わせて項目や集計方法を自由に設計できます。
Excelのメリット
- 使った経験がある人が多い
- 管理項目を自由に追加・変更できる
- 関数やピボットテーブルなどで集計できる
- パソコン内へファイルを保存できる
- クラウド保存を使えば共有や共同編集もできる
一人で顧客を管理し、月に数回更新する程度であれば、Excelで十分な場合があります。
現在使っている請求書や売上管理表と連携しやすい点もメリットです。
Excelの注意点
- 入力ルールを自分で設計する必要がある
- 顧客と対応履歴を一つの表に詰め込むと見づらくなる
- ファイルを複製すると、どれが最新版か分からなくなる
- メール添付で共有すると古いファイルが残りやすい
- 通知やタスクの自動化には追加設定が必要
Excelは自由度が高い反面、自由に作りすぎると、本人しか使い方が分からない表になりやすい点に注意が必要です。
列が50本あり、色が7色あり、どこかに重要な計算式が隠れている。そこまで来ると顧客管理表ではなく、ほぼ脱出ゲームです。
Excelが向いている人
- 基本的に一人で顧客管理する
- 顧客数や案件数がまだ少ない
- Excelの操作に慣れている
- 独自の計算や集計を行いたい
- 現在の表を大きく変えずに始めたい
Googleスプレッドシートで顧客管理する方法
Googleスプレッドシートは、ブラウザを中心に利用する表計算サービスです。
ファイルをクラウド上で共有でき、閲覧者、コメント可、編集者などの権限を設定できます。
複数人が同じ表を更新する場合や、パソコンとスマートフォンから確認したい場合に利用しやすい方法です。
Googleスプレッドシートのメリット
- ブラウザから利用できる
- 複数人で同じファイルを編集しやすい
- 共有相手ごとに権限を設定できる
- 変更内容が自動保存される
- Googleフォームなどと連携しやすい
たとえば、Webフォームから受け付けた問い合わせ内容をスプレッドシートへ集め、その後の対応状況を追記する運用ができます。
外出中にスマートフォンから顧客の連絡先や次回対応日を確認したい場合にも便利です。
Googleスプレッドシートの注意点
- 共有リンクの設定を誤ると、想定外の人が閲覧できる可能性がある
- 編集権限を広く与えると、数式や項目が変更される可能性がある
- 複雑な顧客関係や対応履歴の管理には限界がある
- 行数や項目が増えると、必要な情報を探しにくくなる
- 担当者ごとの権限を細かく分けにくい場合がある
「リンクを知っている全員」が閲覧できる設定ではなく、可能な範囲で共有する相手を指定し、必要最小限の権限にすることが重要です。
外注先との契約が終了した場合などは、共有権限を削除する運用も決めておきましょう。
Googleスプレッドシートが向いている人
- 自分を含む少人数で顧客情報を共有する
- 複数の端末から情報を確認したい
- Googleのサービスを業務で使っている
- 表計算ソフトの形式を維持したい
- 費用や設定作業を抑えて始めたい
CRMで顧客管理する方法
CRMは、顧客の基本情報、連絡履歴、問い合わせ、商談、契約、タスクなどを一元管理するためのシステムです。
代表的なCRMの無料プラン、料金、顧客・案件管理機能を比較したい場合は、個人事業主向けCRMおすすめ4選を比較|無料プラン・料金・機能を解説をご覧ください。
顧客ごとの画面を開くと、担当者情報や過去の対応履歴をまとめて確認できる製品が多くあります。
サービスによっては、メール連携、問い合わせフォーム連携、タスク通知、案件管理、売上予測、レポート作成などにも対応します。
CRMのメリット
- 顧客情報と対応履歴を一元管理しやすい
- 案件ごとの進行状況を確認しやすい
- 次回対応やタスクを通知できる製品がある
- 担当者が変わっても履歴を引き継ぎやすい
- 顧客数や案件数が増えても検索・分類しやすい
- メールやほかの業務ツールと連携できる場合がある
顧客情報が増えても、一人の顧客に関する情報をまとめて確認しやすいことがCRMの強みです。
複数人で利用する場合は、担当者が休んでいても、ほかの人が過去の対応を確認しやすくなります。
CRMの注意点
- 初期設定やデータ移行が必要
- 月額料金や利用人数ごとの料金が発生する場合がある
- 入力ルールを決めないと情報がそろわない
- 使わない機能が多いと操作が複雑になる
- サービス変更時にデータを書き出せるか確認が必要
CRMを導入しただけで、顧客情報が自動的に整理されるわけではありません。
誰が、いつ、何を入力するかを決めなければ、高機能なシステムが立派な空き家になります。
CRMが向いている人
- 顧客数や問い合わせ数が増えている
- 複数人で顧客対応を行っている
- 案件ごとの進行状況を把握したい
- 対応漏れや引き継ぎ漏れが発生している
- メールやフォームとの連携を進めたい
- 顧客管理をもとに売上や営業状況を分析したい
ExcelとGoogleスプレッドシートの違い
ExcelとGoogleスプレッドシートは、どちらも表形式で顧客情報を管理できます。
大きな違いは、利用環境と共有方法です。
| 比較項目 | Excel | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 主な利用方法 | デスクトップ・Web・アプリ | ブラウザ・アプリ |
| 保存場所 | 端末内またはクラウド | 主にGoogleドライブ |
| 共同編集 | 対応環境とクラウド保存が必要 | 共有設定により行いやすい |
| 細かな分析 | 複雑な計算や集計に対応しやすい | 一般的な集計や共有に使いやすい |
| 向いている運用 | 一人利用・高度な集計 | 少人数の共有・リアルタイム更新 |
Excelでも、OneDriveやSharePoint Onlineなどへ保存し、対応するExcelを利用すれば共同編集できます。
そのため、「Excelは一人用、スプレッドシートは共同作業用」と完全に分けられるわけではありません。
すでにMicrosoft 365を業務で利用しているならExcel、GoogleドライブやGmailを中心に利用しているならGoogleスプレッドシートの方が、現在の業務へ組み込みやすい場合があります。
表計算ソフトとCRMの違い
ExcelやGoogleスプレッドシートは、自由に表を作れる汎用的な道具です。
CRMは、顧客と案件を管理するために設計された専用システムです。
| 比較項目 | 表計算ソフト | CRM |
|---|---|---|
| 導入のしやすさ | 比較的始めやすい | 初期設定が必要 |
| 自由度 | 項目を自由に設計できる | 製品の仕組みに沿って設定する |
| 対応履歴 | 自分で表を設計する | 顧客ごとに整理しやすい |
| タスク管理 | 手動管理が中心 | 通知・担当設定に対応する製品がある |
| 権限管理 | ファイル単位が中心 | 役割や担当者別に設定できる製品がある |
| 自動化 | 関数・マクロ・外部連携が必要 | 標準機能や連携機能を利用しやすい |
顧客数が少なく、自分一人で更新する段階では、表計算ソフトの方が簡単な場合があります。
顧客、案件、対応履歴、タスクの関係が複雑になったら、CRMの方が整理しやすくなります。
個人事業主に合う顧客管理方法の選び方
一人で少数の顧客を管理する場合
まずはExcelまたはGoogleスプレッドシートから始める方法が現実的です。
顧客名、連絡先、進行状況、次回対応日を一つの表にまとめ、毎週確認できれば、基本的な顧客管理として機能します。
Excelに慣れているならExcel、複数端末から確認したいならGoogleスプレッドシートが候補になります。
家族や少人数のチームで共有する場合
同じ顧客管理表を複数人で更新する場合は、クラウド上で共同編集できる仕組みが必要です。
Googleスプレッドシートや、OneDriveなどへ保存したExcelを候補にします。
共有するときは、閲覧だけでよい人と、編集する人を分けましょう。
問い合わせや案件が増えている場合
問い合わせの受付、商談、見積もり、契約、納品、継続フォローまで管理する場合は、CRMを検討します。
顧客名を検索したときに、基本情報、対応履歴、進行中の案件、次回タスクをまとめて確認できると、対応時間を減らしやすくなります。
問い合わせフォームやメールと連携したい場合
問い合わせ内容を手作業で表へ転記している場合は、CRMや自動化ツールとの連携を検討します。
フォームから受信した情報を自動登録できれば、入力作業と転記ミスを減らせる可能性があります。
ただし、自動登録する前に、不要な情報まで保存されないか、同じ顧客が重複登録されないかを確認しましょう。
Excel・スプレッドシートからCRMへ移行する目安
次の問題が増えたら、CRMへの移行を検討する時期です。
CRMを比較するときの機能、料金、権限設定、外部連携などの確認項目は、個人事業主向けCRMの選び方|比較すべき機能・料金・注意点を解説で詳しく紹介しています。
- 同じ顧客が複数の行に登録されている
- 顧客情報と案件情報の関係が分かりにくい
- 対応履歴が一つのセルに長く書かれている
- 次回対応日を見落とすことがある
- 担当者ごとの進行状況を確認できない
- 複数のファイルに顧客情報が分散している
- メールや問い合わせ内容の転記に時間がかかる
- 表を編集できる人と閲覧だけの人を分けたい
顧客数だけで移行を判断する必要はありません。
顧客が20社でも、各社に複数案件があり、対応する人が複数いるならCRMが役立つ場合があります。
反対に、顧客が100人いても、年に一度連絡するだけで複雑な対応履歴がなければ、表計算ソフトで管理できる場合があります。
移行の判断基準は顧客数だけではなく、情報の複雑さ、更新頻度、利用人数、対応漏れの発生状況です。
顧客管理表を作る基本手順
ExcelまたはGoogleスプレッドシートで始める場合は、次の手順で作成します。
実際に使う項目やシート構成、コピー用の項目テンプレートは、個人事業主向け顧客管理表の作り方|項目・テンプレート・運用ルールを解説で詳しく紹介しています。
- 顧客管理の目的を決める
- 必要な項目だけを選ぶ
- 入力形式を統一する
- 更新するタイミングを決める
- 毎週確認する項目を決める
1.顧客管理の目的を決める
最初に、何を改善したいのかを決めます。
- 連絡先をまとめたい
- 見積もり後の対応漏れを防ぎたい
- 案件の進行状況を把握したい
- 契約更新日を管理したい
- 紹介やWebサイトなどの集客経路を分析したい
目的が決まれば、必要な項目を選びやすくなります。
2.必要な項目だけを選ぶ
最初は次の項目があれば、基本的な管理を始められます。
- 顧客ID
- 会社名・顧客名
- 担当者名
- 連絡先
- 案件名
- 進行状況
- 最終対応日
- 次回対応日
- 次に行うこと
実際に使いながら、不足する項目だけ追加しましょう。
3.入力形式を統一する
日付や進行状況の入力方法を統一します。
たとえば、進行状況は自由入力ではなく、次のような選択肢にします。
- 問い合わせ
- 初回連絡済み
- 商談中
- 見積もり提出済み
- 契約済み
- 対応完了
- 保留
- 失注
「商談中」「検討中」「確認中」などが人によって混在すると、絞り込みや集計が難しくなります。
4.更新するタイミングを決める
顧客管理表は、作ることより更新を続けることの方が重要です。
次のような更新ルールを決めます。
- 問い合わせを受けた当日に登録する
- 打ち合わせ終了後に対応履歴を入力する
- 見積もり送付時に進行状況を変更する
- 入金確認後に入金日を記録する
- 契約終了時に継続・終了を更新する
5.毎週確認する項目を決める
顧客情報を入力するだけでは、対応漏れを防げません。
週に一度、次の項目を確認します。
- 次回対応日を過ぎている案件
- 見積もり提出後に連絡していない案件
- 支払期限を過ぎている請求
- 契約更新日が近い顧客
- 長期間連絡していない既存顧客
顧客管理は、記録する作業ではなく、次の対応を決める仕組みとして使いましょう。
顧客管理でよくある失敗
管理項目を増やしすぎる
詳細な分析をしようとして入力項目を増やしすぎると、登録作業が負担になります。
入力されない項目を増やすより、少ない項目を確実に更新する方が実用的です。
顧客情報と対応履歴を一つの行に詰め込む
一つのセルへ対応履歴を追加し続けると、文章が長くなり、特定の日の対応を探しにくくなります。
対応履歴が増えた場合は、顧客一覧と対応履歴を別シートに分け、顧客IDで関連付ける方法があります。
複数のファイルを作る
担当者ごと、月ごと、顧客ごとに別ファイルを作ると、情報が分散します。
可能な範囲で一つの管理場所に集め、表示するときに絞り込みやフォルダ分けを利用しましょう。
次回対応日を記録しない
過去の対応だけを記録しても、次に何をするか分からなければ、対応漏れを防げません。
対応を記録するときは、次回対応日と次に行う作業をセットで入力します。
顧客名の表記が統一されていない
「株式会社○○」「(株)○○」「○○」など、同じ顧客が異なる名前で登録されると、重複や集計漏れが発生します。
顧客IDを付け、会社名の入力ルールを決めておくと管理しやすくなります。
ツールを導入しただけで安心する
高機能なCRMを導入しても、入力されなければ情報は更新されません。
ツール選びと同時に、入力担当者、入力期限、確認する頻度を決めましょう。
顧客の個人情報を管理する際の注意点
顧客管理では、氏名、メールアドレス、電話番号、住所、問い合わせ内容など、個人情報に該当する可能性がある情報を扱います。
個人情報を扱う場合は、個人情報保護委員会が公開している法令、ガイドライン、事業者向け資料を確認してください。
以下は一般的な管理上の確認事項です。個別の契約や法的判断については、必要に応じて専門家へ確認してください。
利用目的を整理する
顧客情報を何のために利用するのかを整理します。
- 問い合わせへの回答
- 契約やサービスの提供
- 請求・支払いの管理
- アフターサポート
- 本人が希望した案内の送付
収集した情報を、当初の目的と関係のない用途へ無制限に使わないようにします。
必要な情報だけを管理する
業務で使う予定がない情報まで収集すると、管理する情報量と漏えい時の影響が大きくなります。
入力項目を決めるときは、その情報が実際に必要かを確認しましょう。
アクセスできる人を制限する
顧客情報を閲覧・編集できる人は、業務上必要な範囲に限定します。
外注先や退職者など、利用する必要がなくなった人の権限は削除してください。
共有リンクを利用する場合は、誰が閲覧できる設定になっているかを定期的に確認します。
アカウントと端末を保護する
- 推測されにくいパスワードを使用する
- 同じパスワードを複数サービスで使い回さない
- 利用できる場合は多要素認証を設定する
- パソコンやスマートフォンに画面ロックを設定する
- OSやアプリを更新する
- 公共の端末へ顧客情報を保存しない
バックアップと削除方法を決める
誤操作、端末故障、サービス障害などに備え、必要な範囲でバックアップ方法を決めます。
一方、不要になった顧客情報をいつまでも保存し続けるのではなく、契約、法令、事業上の必要性を踏まえて保存期間と削除方法も整理してください。
顧客管理方法を決める手順
- 現在の顧客情報がどこにあるか洗い出す
- 顧客管理で解決したい問題を決める
- 管理する項目を絞る
- 利用人数と共有範囲を確認する
- Excel・スプレッドシート・CRMから候補を選ぶ
- 少数の顧客データで試す
- 入力・更新・確認のルールを決める
- 問題が増えた段階でCRMへの移行を検討する
最初からすべての過去データを移す必要はありません。
まず、現在取引中の顧客や、今後対応が必要な顧客から登録し、実際の運用で使えるか確認します。
管理方法を決める目的は、きれいなデータベースを作ることではありません。対応漏れを減らし、顧客への連絡や案件管理をラクにすることです。
個人事業主の顧客管理に関するよくある質問
顧客が何人になったらCRMを導入すべきですか?
顧客数だけで決めることはできません。
顧客ごとに複数案件がある、対応する人が複数いる、履歴やタスクが複雑になっている場合は、顧客数が少なくてもCRMが役立つ可能性があります。
表計算ソフトで対応漏れや重複登録が増えた段階が、CRMを検討する一つの目安です。
ExcelとGoogleスプレッドシートはどちらがおすすめですか?
一人で高度な集計を行う場合や、すでにMicrosoft 365を利用している場合はExcelが候補になります。
少人数で共同編集したい場合や、Googleのサービスを中心に利用している場合はGoogleスプレッドシートが候補になります。
どちらも共有方法や権限設定を確認し、現在の業務環境に合う方を選んでください。
無料のCRMでも顧客管理できますか?
無料プランを提供しているCRMもあります。
ただし、利用人数、登録件数、メール連携、レポート、自動化、サポートなどに制限が設けられている場合があります。
無料かどうかだけでなく、必要な機能、データの書き出し方法、将来有料プランへ移行した場合の料金を確認しましょう。
顧客管理表と売上管理表は分けるべきですか?
小規模なうちは一つのファイル内で管理できますが、顧客一覧、案件一覧、対応履歴、売上・入金はシートを分ける方が整理しやすくなります。
同じ顧客IDや案件IDを使って、必要な情報を関連付ける方法があります。
名刺管理アプリとCRMは同じですか?
同じではありません。
名刺管理アプリは、名刺から氏名、会社名、連絡先などを登録・検索することを中心とします。
CRMは、基本情報に加えて、問い合わせ、商談、対応履歴、案件、タスクなどを管理することを主な目的とします。
顧客情報をクラウドへ保存しても大丈夫ですか?
クラウドサービスだから一律に安全、または危険とは判断できません。
サービスのセキュリティ機能、保存場所、アクセス権限、認証方法、バックアップ、削除方法、利用規約などを確認します。
自分の事業の情報管理ルールや顧客との契約に合うかも確認してください。
顧客管理では、管理方法の使いやすさだけでなく、共有権限、多要素認証、外注先管理、バックアップ、保存期間も確認する必要があります。詳しい安全対策は、個人事業主の顧客管理で個人情報を守る方法|権限・共有・バックアップを解説で紹介しています。
問い合わせフォームから届いた顧客情報を管理表やCRMへ登録し、重複確認、担当者通知、受付メールまで連携する方法は、問い合わせ対応を自動化する方法|フォーム・顧客管理・通知を連携する手順で解説しています。
Googleスプレッドシートを選んだ場合の、顧客管理表の構成、顧客ID、重複確認、検索、対応履歴、共有権限などの具体的な運用方法は、Googleスプレッドシートで顧客管理する方法|入力・検索・更新ルールを解説で紹介しています。
顧客管理の方法を決めた後は、メール・電話・商談などのやり取りを履歴として残し、過去の経緯や次回対応を確認できる状態にします。具体的な記録項目と運用方法は、顧客対応履歴の残し方|メール・電話・商談記録を整理する方法で紹介しています。
顧客管理の方法を決めた後は、顧客情報を保存するだけでなく、次回アクション・担当者・期限・次回確認日まで管理すると、対応漏れを防ぎやすくなります。具体的な方法は、顧客フォローの管理方法|次回連絡日・期限・対応漏れを防ぐ仕組みを解説で紹介しています。
まとめ
個人事業主の顧客管理では、顧客の連絡先だけでなく、問い合わせ内容、対応履歴、案件の進行状況、次回対応日などをまとめて確認できる状態を作ることが重要です。
管理方法は、利用人数や業務の複雑さに合わせて選びます。
- Excel:一人で柔軟に表を作成・集計したい場合
- Googleスプレッドシート:少人数で共有・共同編集したい場合
- CRM:顧客・案件・対応履歴・タスクをまとめて管理したい場合
最初は、顧客名、連絡先、進行状況、最終対応日、次回対応日、次に行うことの6項目程度から始めても構いません。
顧客数や対応人数が増え、重複登録、対応漏れ、情報の分散が目立つようになったら、CRMへの移行を検討します。
ツールを導入することよりも、入力・更新・確認を続けられる運用を作ることが大切です。
要するに、最初は小さく始めて、表が悲鳴を上げる前にCRMを検討する。この順番で大丈夫です。
参考にした公式情報
※各サービスの機能や提供条件は変更される可能性があります。利用前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。